Antique Scuba Gear



レギュレータのメンテナンス






2. レギュレータのメンテナンス

クラシカルな機材が好きで愛用しているNemrod SNAKVレギュレータも徐々に不調をきたしてきます。本来はショップメンテナンスに持っていくのですが特殊すぎてショップから断られる始末です。ところが行きつけのショップの社長が機材好き、ときて断られながらも通ううちにレギュレータのメンテナンス講習を受け自己責任で自力でメンテしてみてはとなりました。1日かけて実技を習い日アクDiveMaster3レギュレータを自分の手でメンテナンスしました。基本技術の習得が終わりダブルホースの修復は自力行い始めたのか始まりです。

※注意
命を預ける機材です、一般の方は専門のショップでメンテして下さい。



(1) メンテナンスの準備


レギュレータをメンテナンスする場合は、まずレギュレータの構造を理解することが始まりです。

a. 分解・組立図(メンテ対象のレギュレータ)
部品がどの順番で組み合わさっているのか?分解する順番、組み立てる順番、交換部品のパーツNoなどを読取ります。

b. 工具(特殊工具、チェッキングゲージなど)
レギュレータは簡単に分解できないようにするため、重要な部分は特殊工具を使用しないと開けません。無理に開くと破損して使い物になりません。工具が無い場合が工具作りから始めます。 また中圧調整をする為のチェッキングゲージは必需品です。

c. 交換部品
ゴム部品は可能であれば交換することをすすめます、またフィルターやCクリップ、ロックナットは付いていたものを使わず新品に交換します。 日本で入手できないものは海外のサイトから取り寄せています。

d. 作業環境
組み立てには専用のシリコングリスなどが必要になります。(カメラも防水用は呼吸系には使用しないでくださいね)、また中圧調整を行う為にはエアー充填したタンク等も必要になります。



(2) レギュレータの分解

レギュレータのメンテナンスは使っている間に付着した塩や錆びを落すクリーニングと、劣化した部品を交換して機能をとりもどすためのに行います。そのためにはレギュレータを構成する部品1つなるまで分解します。 

分解の注意点

a. 分解図やレギュレータの構造を考え分解できる部分を把握する、また分解する順番も検討してから分解を開始する。

b. レギュレータ(特にAntiqueなレギュレータ)は金属(真鍮)にメッキをしてあります、メッキがはがれると錆びを発生する原因になります。分解作業時にキズをつけないよう注意します。

c. 分解する為には専用の道具を必要とする場合があります。合わない道具で無理やり分解すると部品を破損します。分解に必要な工具を手配するか工具を作ります。

d. 塩の付着で回らない部分や外れない部分があります、無理に力を入れるとネジ山を壊し組みたたらなくなります塩を洗浄してから分解するする場合や、力の入れ具合も注意します。



(3) 部品の洗浄と交換部品の準備

分解した部品1つ1つを洗浄します、基本は水洗いです。しかし金属部分に付着した塩・錆びは簡単に落ちません、酸(希塩酸)に10秒ほどつけその後に水洗いをします。酸洗浄は酸性ガス(猛毒)をともないますので専門家に依頼してください。私の場合は歯ブラシしや歯間ブラシなどを使い丁寧にブラッシングして塩を落としています。錆びは金属磨きを使い磨き上げています。 ダブルホース部分も分解してパイプブラシなどで内部を洗浄します、その後キッチンハイターに数十秒ほど浸け除菌をします。
洗浄が終わったら部品の乾燥と磨き込みをします。綿棒やフロア−などを使って水を拭き取り、乾燥したタオルで部品を磨き込みます。

交換パーツの選別とパーツ手配
分解した部品が全て再利用できればよいのですが、劣化しているものや分解することにより再利用不可の部品があります。部品をチェックして交換必要の選別をします。

a. 分解により交換が必要となる部品
  Cクリップ、フィルダー、Oリング、ロックナット、中圧用ダイアフラム、2次圧用シート


b. 部品の状態により交換を判断する部品
  高圧シート、排気弁(duckbill exhaust valves)、デマンドダイアフラム、スプリング


(4) 組立て

部品を組立てレギュレータを復元します。 部品にはシリコングリスを塗ります、稼動部分には十分シリコングリスを塗ります。シリコングリスはアクアラング専用を使用します。呼吸系に使用するため水中カメラ用は使用しないでください。

a. 組立て1 高圧ノズル〜中圧制御部

タンクより来る高圧空気(150kg/cm2)を中圧値に落とす為に制御する高圧シートを高圧ノズルにセットしてフィルターをつけCクリップで押さえ込みます。組みあがった高圧ノズルをヨーク部分とホディーに取り付けます。 次に中圧を作りダイアフラム側を組み入れます。 プッシュピン、台座、ダイアフラム部分は特に中圧作成の重要な部品です。慎重に作業を続けます。

  

b. 組立て2 デマンドバルブ

中圧部分の組立てか完了した後に中圧から呼吸供給に応じて空気を共有するデマンドバルブ部分の組立てをおこないます。デマンドバルブにシートを取り付けボディに取り付けます、デマンドダイアフラムを動きを検知してデマンドバルブを開くレバーも取り付けます。


c. 組立て3 中圧調整

レギュレータの減圧部分の組立てが済むと中圧調整作業を行う。レギュレータのメンテナンス作業で一番重要な作業である。中圧調整はチェッキングゲージ(中圧測定ゲージ)をレギュレータの中圧ポートにつなげてタンクに接続しタンク圧をかける、1次減圧機能が動作して中圧が作りだされる。チェッキングゲージで中圧値を測定する。中圧値の調整が必要な場合、中圧調整部分(ダイアフラムを抑えるスプリング)を閉めて中圧値を調整する。この中圧調整を繰り返し適正中圧になるように調整する。
 
d. 組立て4 排気部とケース収め

適正中圧が調整できればレギュレータのメンテナンスはほぼ終了です。デマンドダイアフラムを取り付け吸引した場合に空気が供給されることを確認します。つづいて排気部分の組立てです。 排気部分はケースに逆止弁(duckbill exhaust valves)を取り付けるだけです。 全ての取り付けが終わればレギュレータのボディーを合わせてバンドクリップで留めレギュレータの重要部分は完成です。
e. 組立て5 ダブルホース

組立ても最終工程です、なんと言ってもダブルホースを付けなくては。 
マウスピース部分の左右に弁を取り付けます。右から空気が供給され左へ排出される方向で取り付けます、取り付け後にホースをはめてバンドクリップで閉めマウスピース側は完成です、レギュレータ側にホースを取り付け、完成です。タンクに接続してエアーを呼吸できるかチェックすれば、ダブルホースレギュレータのメンテナンスの完了です。

綺麗になったレギュレータは動作も軽く、空気も美味しいきかします。


(5) テスト

組立てが終わったレレギュレータ残りはテストしてOKならば本格使用できます。テストは限定海域(プール)でおこないます。 レンタルタンクで圧が200kg/cm2ある場合150Kg/cm2を切るまで通常のレギュレータで使い圧が適してからテストに入ります。あと、構造上呼吸抵抗があるのは承知のうえですよ。 




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