遊び・ユーモアがあって素敵な時代でした。 1980年〜1990年 当時はダイビングスクールは何処も満員、講習待ちをするほど元気がありました。ダイビング指導団体も元気があり、雑誌などにこぞってアピールCMを掲載していました。 JP(Japan Professional Scuba Diving Instructors Association)日本職業潜水教師協会のユーモアたっぷりの、メッセージCMを紹介します。


送り狼を軽くあしらう彼女も、
未知の生物はからかいません。
送り狼は、マア冗談ですが、陸にいる危険な生物については誰でもある程度は知っています。だいたい見れば判るものね。ところが、海の中の危険な生物なんて、名前さえしらないのがブツーです。べつに脅かすわけじゃないけど、やっぱり、基本的に知識はもっていたほうがいい。彼女も、ははははっゴンズイってへんな顔、とかいいながら名前と姿形をおぼえているところ。潜ったといも、岩のスキマや穴に手をつっこむなどのオテンバはいたしません。見なれない生物には、じっかりブリッ子しちゃうのが、海の中では賢いのであります。


彼女のハンドシグナルは、陸の上では、
べつの意味だったりするので、要注意。
ハンドシグナルを覚えたての彼女は、どんどん使ってしっかり身につけなさいというインストラクターの指導をいいことに、もう所かまわずなんです。ダイビングを知らない友だちがシカメッ面しても、手の平を胸のまえで水平に上下させて「まあまあ落ち着きなさいよ」なーんてやって笑っています。でも、そのうちにダイバー同志でも思ったことが伝わらない時があることに気がつきました。言葉と同じなんですね。だから水中ではなおさらのこと。相手の状況をつねに意識していないと、こちらが伝えたいことも相手が伝えようとしてることも、うまく通じないことがあるので、要注意。まずは彼女みたいに陸上でいっぱい試して、誤解をたのしんでおきましょう。


映画なら、このシーンはありません。
ダイビングって、映画のなかによく登場しますよね。スリリングでカッコいいシーンが多いみたいです。準備体操をしているとろろなんか、まず絶対にでてこない。たいてい、いきなりエントリーです。だけどそれは、ストーリーの進行上不要だから映さないだけ。現実に準備体操をじないで潜るなんて、危険のなかにとびこむようなものと思っていただきた。カッコ悪いと思ったら、カッコいい準備体操を工夫すればいいんです。ラジカセをもっていってヒット曲に合わせたり、最新の水着を着たり。そういうアイディアなら、ビギナーの方々の方が得意でしょう。


復習のオニに、なっちゃった。
オフのあいだ中、去年のダイビングを思いかえしては、あーすればよかったこーすればよかったとモンモンとしていた彼女。シーズンが近づくとともに、もういちどマニュアルを読みかえして復習していたんだそうです。で、びーちに出てもこのありさま。ひとりで目立っておりました。いや、もちろんこれは撮影のためのヤラセなんですけで、JPとしては、ぜひビギナーにかぎらずシーズンになったら復習のオニになっていただきたい。思いっきりダイビングを楽しむのは、それからでも決して遅くはありません。


このままディスクコどかに行けば、
そうとう目立つことができると思う。
ダイビングを始めたばかりの彼女は、もう週末が待ちどうしくて待ちどうしくて。自分の部屋でフル装備になっては、鏡に映してウットリしているらしいです。でも、笑ってはいけません。これ、プロのインストラクターからみれば、着脱の練習になる。重い機材やウエット・スーツにからだがなれる。手入れが上手になるなど、もう毎晩やってもいいほどのことなのであります。どうどうとポーズなんかもとって、楽しみましょう。なお、趣味の問題ではありますが、そのまま街へでかけたりするのは、いちおうお薦めできるこどではなので、念のため。



JP公認のボーイハントよ。
彼女は何しろビギナーなものだから、やたらとアチコチのポイントに潜りたがる。週末や休暇は、もうそればっかり。海外にまで行ってじまう熱心さなのであります。で、この写真は、けっしてアフターダイビングを楽しんでいるわけではありません。(ちょっと楽しんでいるけどネ)。水のきれいなポイントやそこの潮の流れ、エントリー場所、そして危険など、ダイビングのための情報は地元のヒトに訊くのが一番。それにはまずお友達をつくっちゃくのがカシコイわけです。そのためのボーイハントなら、JPとしても大賛成。ぜひ日頃の腕をふるってください。


雨の日は、何して遊ぼうかな。
ダイビング・ツアーの予約をする。と、もうその日が待ち遠しくて待ち遠しくて気もそぞろになる。で、その日が来る。現地に着く。ダイビング・ポイントに行く。すると波が高かったり、天候が荒れてだりすることって、あるんですよね。でも、せっかく楽しみにして来たんだしー、という気持ちは痛いほど判ります。しかし無理はいけません。あえていえば、無理は絶対にいけない。JPとしては、もしあなたがビギナーなら雨の日のダイビングも写真の彼女のようにガマンしていただきた。気持ちは沈んでも、身体が沈むよりいいもんね。雨天の海中は暗くてきれいじゃないし。ドライブにでもいっちゃいましょう。


むりに笑っています。難しんです、これ。
ビギナーの彼女には、大変な撮影でした。浮力調整の練習シーンです。装備はウェット・スーツ、フィン、ウエイトだけ。まず、息をいっぱいに吸い込むと自然に浮き、思いきりはき出すすとゆっくり沈むようにウエイト量を調整。つぎに水面に仰向けになり、肺の空気量のわずかな調整で身体の浮き沈みを自由にコントロールできるように練習します。コツは、ウエイトを身体のやや前に、左右バランスよくつけること。とは言っても、これ、かなり練習しないとできない。しっかりマスターすれば、水中で中性浮力をとって静止するために必要な、呼吸の微調整に役立ちます。ぜひ身につけてください。


爪をたてないで、手のひらをつかって、
やさしく滑らすようにすると、いい。
ビギナーにとって思いのほか手こずるのが、ウェット・スーツを着るとき。彼女も、ご覧のとおり格闘の真最中。でも、潜る直前にジタバタするより、彼女のようにあらかじめ練習しておくほうが賢明です。 そのとき注意したいポイントは、スーツを無理にひっぱたり、傷をつけないようにすること。ダイバーの皮膚を守り、保温効果をもつウェット・スーツの機能を知れば知るほど、こうした基本的なポイントがとても大切なことがわかってきます。爪をたてずに、手のひらで滑らすように。スーツの身になれば、ほら、気持ちよさそうでしょう。


彼女は溺れない性格です
ゲージ・チェックだけは人に任せられない性格なのよね、という彼女。JPとしては拍手をおくりたい。海のなかでエアが切れたら、ビギナーの場合ほとんどパニックになってしまいます。これ、たしかにインストラクターの責任だけど、命はひとつしかないもねえ。用心にこしたことはありません。そして、潜るたびに自分の空気消費量を計算して、頭に入れとくことも忘れずにしてください。シーズン・オフで機材の手入れをしながら、ゲージを見るクセをつけるといいかもね。


バスルームで何か変なことしてる。
とウワサされても、彼女はヘーキです。

「そんなに何度も電話くれたの?ごめーん、おフロにはいってだんだ」と彼女が言っても、彼はなかなか信用しませんでした。そんなに長くフロに入ってるのはオカシイというのです。彼女の話はホントでした。バスタブのなかで、ジュノーケル・クリアーとマスク・クリアーの練習をしていたのです。プロダイバーのなかにも、こういうフロ(風呂)ダイバーだった人ってけっこういるんです。ジュノーケル・クリアーはマスクを水面から出さないようにすること。マスク・クリアーはマスクの上部を押えて水面を見上げながらゆっくり息を鼻から出すこと。これがコツです。おフロで練習するとは、彼女もなかなかカシコイ。イザというとき、彼の電話に出られなかった言い訳にもなるしね


撮影のための演出が一ヶ所あります。
どーこだ。
おわかりになりましたか。答えは、ウェットスーツを着ていないこと。なーんだ、なんて言う人は、マニュアルを最初から読み直すことをお薦めします。はっきり言って、きけんです。で、おさらいすると、ウェットスーツを着る理由はおもに3つ。@体温の保持、
A外傷の防止、B浮力の確保です。相当キャリアを積んだプロ・ダイバーでも、水中撮影など必要がなければ、たとえ水温の高い南の海だろうと水着では潜りません。JPは、だからウェットスーツがどんどんファショナブルになることに大賛成です。そうせ身につけるものだから、オシャレな方がいいもんね。